暁の寺

 

                                             アンコールワット

 

kobayashiのアトリエで見た、その遺跡群の画像に反応して、ロックアウトした大学構内、バリケードの中の寝袋で貪るように読んだ三島由紀夫・豊饒の海Ⅳ部作の読後のイメージが甦った。

輪廻転生と云う壮大な物語の第Ⅲ部・暁の寺・・・・

どうしてすっかり忘れかけていた遠い記憶がkobayashiのアトリエを訪れた時だけ、突然ぶりかえすのだろう。個展の打ち合わせの度に、実は不思議でならなかった。

 


滅びゆくものの凄まじい生へのエナジーの象徴は、亜熱帯のジャングルに埋もれ、その遺跡とともに歴史の彼方に封じ込められていた。


                                            バイヨン寺院

 

 

              ストゥパ(仏塔)

鐘の音だろうか、かすかだが何處かで鳴っている。

アトリエ内のその響きをたよりに徘徊してみる。

心に響いたものの前で佇み、その1点1点を一つ所に集めたらその正体が何であったのかが見えてきた。

 

"古代仏教遺跡のストゥパのようだね”

 

この鐘の音は棚板にずらりと並んだ火入れを待つ個展のための様々の普段使いの器からもかすかだが聞こえている

 

                   

                       古代遺跡からの問いかけに

 

    kobayashiが放った光彩は、やがてその源の漆黒へと巡歴する。

 

 

9月10日(土)~ 13日(火)会期中 小林敦さん在廊

白萩を閉じても、kobayashiの個展だけは、2年毎に開催しますとお約束をして、

待ちに待ったその日を迎えます。

 

今回の会場は小町通りのせんべい屋さんを左に折れた路地”やまご”で開催致します。

鎌倉もめまぐるしく変貌し、由比ヶ浜通りは若手のシェフ達のお店でにぎやかです。

私たち夫婦も皆さんとお会い出来るのが本当に愉しみです。